トラック、バスに燃費改善を義務付け。燃費向上対策
国土省と経済産業省より燃費改善、燃費向上率の設定
大型車では世界初となる燃費規制が日本で行われる事になった。国土交通省と経済産業省は、トラックやバスの燃費改善を自動車メーカーに義務付ける方針を決めた。これまで総重量2.5トンを超える大型車は規制の対象外とされてきたが、これからは燃費の改善に努める必要がある。大型車の燃費改善は二酸化炭素排出量の低減に大きく貢献すると考えられており、目標値を達成すれば2015年度までに2002年度比で平均約12%の低減が可能だ。目標値は重量別に定め、トラックの2.5~3.5トン車は未定だが、3.5トン超車から11段階の目標値を設定することが決まっている。各メーカーは2015年度に出荷するトラックについて燃費の平均値を出し、それが目標値に達しなかった場合、総務省から燃費の是正を勧告されることになる。それでも改善が行われない場合は罰金が科され、燃費が悪いとしてメーカーと車種名が公表されるという。生産打ち切りとなる場合もある。これからのトラック・バスメーカーは排ガスだけではなく、燃費のことも重視して考えなければならない。各メーカーに掛かる重荷は増えるがその反面、開発にしのぎを削り、この機に世界に先駆けた技術が開発される事も期待できる。
2015年度目標に燃費改善・国交省
国土交通省は、地球温暖化対策及び省エネルギー対策をより一層推進するため、重量車の燃費基準について中間取りまとめを行い、軽油を燃料とする車両総重量3.5トン超の貨物自動車及び乗用自動車(乗車定員11人以上)の燃費基準を策定した。目標年度は、燃費改善に向けた開発のために期間を十分確保する観点から、ポスト新長期排ガス規制導入後約5年を経た時期として、2015年度とする。9月30日から10月28日まで、中間取りまとめについての意見を国民から募集。意見を踏まえ11月を目処に最終とりまとめを行う。
燃費基準が達成された場合、2015年度に出荷される重量車の平均燃費値は、例えば、車両総重量3.5トン超の貨物自動車について、2002年度(京都議定書目標達成計画の実績年度)と比較して約12.2%向上するものと推定される。
自動車は、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)に基づく特定機器として、乗車定員10人以下の乗用自動車及び車両総重量2.5トン以下の貨物自動車が対象となっている。
しかし、車両総重量2.5トン超の貨物自動車及び乗車定員11人以上の乗用自動車は、エンジンベースでの燃費測定方法が確立されていなかったことと、実車での燃費測定に膨大なコスト・時間を要することなどが主な理由で、燃費基準が定められておらず、これまで特定機器の対象外となっていた。
ところが、自動車全体のCO2排出量の約40%を占める貨物自動車のうち重量車は保有台数で約30%、CO2排出量で約60%を占めており、重量車についても燃費性能を改善させることが重要な課題となっている。
燃費測定方法について技術的な検討を重ねてきた結果、燃費測定方法が確立される見込みとなったことから、重量車を新たに特定機器に追加するため、04年9月、経済産業省で総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会の下部組織として「重量車判断基準小委員会」を設置するとともに、国土交通省では「重量車燃費基準検討会」を設置し、両者同一の委員構成からなる合同会議形式で、関係者からのヒアリングなども行いながら、製造事業者などの判断の基準となるべき事項(対象となる自動車の範囲、燃費測定方法、燃費区分、燃費基準値、目標年度など)について審議を重ねてきた。
特に、目標基準値の設定にあたっては、重量車の燃費改善と排出ガス低減が採用技術によってはトレードオフの関係にある点を念頭に置きなが、燃費改善技術による燃費改善評価及び排出ガス規制への対応による燃費影響評価の両方を行った。
排出ガス対策については、09年から10年に新たな排出ガス規制(09年排出ガス規制)の導入が予定されており、現行の新長期排出ガス規制(05年10月から導入)と比較してNOx及びPMの排出を大幅に低減させる必要があるため、既存の技術のみでは燃費の悪化が避けられない状況にある。こうした中で、トラック・バスメーカーなどは09年排出ガス規制への対応を最優先に開発に取り組む必要があることから、09~10年までの期間での燃費改善は容易ではないと推察されている。
一方、目標基準値の目標年度が15年であることから、09年排出ガス規制への対応のめどが立った後は、メーカーなどによる燃費改善に焦点を当てた技術開発への取り組みを期待し、更なる燃費改善に関する技術的可能性を見積もって、目標基準値を設定している。
経済産業省と国土交通省は自動車メーカーにトラックとバスの燃費改善を義務付ける方針を固めた。重量別に目標値を定め、順守を求めることで、全体の燃費は2015年度までに02年度比で平均約12%の改善につながる。大型車では世界初の燃費規制をかけ、自動車からの二酸化炭素(CO2)排出増に歯止めをかける。各社は燃費改善の技術開発を迫られ、企業間の提携などに発展する可能性がある。これまでは規制の対象からはずれていた総重量2.5トン超の自動車に燃費の改善を義務付ける方針だ。目標値は重量別で、トラックでは3.5トン超を起点に11段階設ける。2.5―3.5トンの車の目標値は今後詰める。 各メーカーは15年度に出荷するトラックについて、それぞれの段階の燃費の平均値を割り出す。平均値が目標を達成できなかった場合は、経産省などが是正を勧告する。それでも改善されないとメーカー名や車種名を公表し、罰金も科す。燃費が悪い車は生産の打ち切りを迫られる。